Memory 2. 「疎」の姿

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Memory 2. 「疎」の姿

 しばらくすると、ガストンは無精ひげを生やした強面の男と共に戻ってきた。 「クジョウさん、こいつです」  ガストンが俺を見ながら言うと、クジョウと呼ばれた男はその鋭い眼光を俺に向けた。  俺はその立ち居振る舞いから、この男が集落の世話役なのだろうと直感した。 「――どうしてここにきた?」  クジョウは俺の目を見ながら言った。 「俺はついさっきゴミ捨て場で起動したばかりだ。なぜ突然起動したのかは自分でも分からない。人が大勢いる場所なら何か有益な情報が得られるかもしれないと考えてここへ来た」  クジョウは黙ったまま何のアクションもなく俺の話を聞いていた。 「それに、俺はアンドロイドだ。障害が発生した場合に備えて腕の良い技士と懇意になりたい」  そう告げると、クジョウは初めて口元が緩んだ。 「なるほど、もっともな話だな。しかし、それだけで“ではどうぞ”といかないことくらい、賢いお前なら分かるだろ?」 「どうしたら中に入れてもらえる?」  俺が問うとクジョウは黙って考え込んでいるようだった。 「――ジオにお前をチェックさせる。ちょっと待ってろ」  クジョウはその場を去ると、ゲート越しに見える大きなバラック小屋へと入っていった。 「ジオとは?」  俺はポールに聞いた。 「あぁ?ここに住む変わり者の機械技士だよ」  ポールは中々謝礼が貰えないことに苛立っているようだった。  クジョウが小屋から出てくると、その手には頑丈そうな手枷が握られていた。 「これからお前の体を検査する。当然、記憶領域も覗き見ることになるが、それでもいいか?」 「構わない」
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