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アンドロイドを相手にこの距離から弾丸を打ち込んだところで、全てかわされてしまうことは火を見るよりも明らかだった。
弾はあと2発。なんとかしてエデンに隙を作らせなければならない。
エデンは距離を詰める俺に慌てる素振りも見せず、腰からもう1丁の拳銃を抜き放つと、2丁の銃で複数の部位を狙い始めた。
連続する発砲音と共に多数の弾丸が俺を目掛けて飛来する。
右肩と左膝、右膝と左肘、右肘と左脛……いや、足首。次々と射出される凶弾をかわしながら、俺はエデンまでの距離を縮めていった。
両脚を狙った弾丸を避け、もう手が届きそうな場所まで接近すると、俺はエデンの胸に銃を突きつけた。しかし、トリガーを引く直前にエデンの右腕が一閃すると、伸ばした俺の腕は簡単に払いのけられてしまった。
放たれた弾丸が森の中へと消えていく刹那、足元に照準を合わせるエデンの左手が俺の視界に映り込んだ。
銃声と同時に右脚に衝撃が伝わる。
(撃たれた、いや……)
俺は咄嗟に膝を地につけた。
放たれた銃弾は俺の右膝を捕えていたが、僅かに引いた足と丈夫な保護版のお陰で、弾丸は膝関節を破壊することなく保護板をえぐりながら地面へと撃ち込まれていた。
片膝をつく俺をエデンは冷徹に見下ろし、勝ち誇ったように口を開いた。
「もう、逃げられませんよ」
俺はエデンを睨みつけたが、すぐに視線を下ろし右手の銃を力なく落とした。
エデンは俺が抵抗を諦めたと思ったのか、2丁の銃口を空へと向けると、これ以上攻撃の意思がないことを示した。
「――逃がしたほうが賢明だったな」
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