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声に出してしまっていたことに綾自身が驚いて次の瞬間真っ赤になる。
テーブルを挟んだ向かい側に座っている柾冬は驚いて目を丸くした。
「……ええと、今のなし」
「なしなのか?」
「…………」
綾が俯くと柾冬は小さく笑ったあとテーブル越しに綾の手を握って囁いた。
「朝から最高の殺し文句をありがとう」
それから柾冬が洗って乾燥までしておいてくれた制服一式に着替え、綾が洗面所から出て来るとスーツに着替えた柾冬がまじまじと見つめてきた。
「このあいだも思ったけど、君の制服姿……」
「なに?」
「反則級に可愛い」
「……発言がオジサン」
綾がそう言って睨んでも柾冬は嬉しそうに目を細めて笑うだけだ。
「すごく可愛い」
「もうわかったって」
柾冬はそっぽを向く綾を素早く抱きしめて唇を奪った。
「……ん」
「行かせたくないな」
唇を合わせたままで柾冬が囁く。
「……バカ」
「好きだよ」
囁きとともに角度を変えてキスしながら柾冬は綾の細腰を強く抱いた。
「好きだ」
「ん……ん……」
柾冬の巧みなキスは一瞬で綾を翻弄し、蕩けさせる。
もっと欲しくなってせがむように綾は柾冬の首に両腕を絡めた。
「門倉さ……」
そこで柾冬のスーツの胸ポケットに入っていたスマホのアラームが甲高い音とともに振動した。
「……いいところで時間切れか」
名残惜しそうにチュッと音をたてて綾の唇を吸い上げたあと、柾冬はしぶしぶその腕を解いた。
「続きはまた週末、かな?」
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