act.1

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act.1

たぶんその()をひと目みた瞬間から恋に堕ちていたんだと思う。 都会の夜の中で偶然出会い、言葉も交わさずに抱き合った。 目が合った瞬間、互いに吸い寄せられるように近づいて、俺は彼の腕を引いた。 彼は黙ってついてきた。 蠱惑的な瞳。しなやかな体。 言葉のかわりに吐息と視線だけで交わす会話。 初めて抱き合うのに、もうずっと長いこと一緒にいるような錯覚。俺は瞬く間に彼に溺れた。 けれど彼は気まぐれにこの腕の中からすり抜けていく。 全てを見せてはくれない。 全てを許してはくれない。 焦らされ、かわされ、煽られるたびに昂ってゆく自分がいる。 こんなことは初めてで……。
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