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Karte-15
「お待たせしてすみませんでした。あれから痛みどうでした?」
三嶌の問いかけに百合はしどろもどろに答える。
「少し……痛みはありましたけど先日よりはマシかなって……」
「歯茎はまだ腫れてそうですね。お口の中見せてもらえますか?谷くん、口腔内チェックするからついてくれる?」
「はい」
さて、と三嶌が椅子に腰かけてグローブをはめた。やはり長くて細い指だ、と百合は先日のことを思い出してそのきれいな手を見つめていた。あの指がまた自分の口の中に入り込んでくることを想像して恐怖より変な気を起こしかける。
(いや、なんで?口の中だしナニするってないし!!)
二次元へのスイッチを勝手に入れかけて踏みとどまれた。危ない、そう思っていた矢先、三嶌が見つめながら聞いてくる。
「今日はどんなスタイルでやりますか?」
(どんなスタイルでヤル!?え!!選択制?!むしろどんなスタイルがあるの?!)
百合の脳内が一瞬でぶれ始めた。
「こないだはだいぶ恐がっていたから……今日はもう少しちゃんと触りたいな」
「さわっ、さわる?な……なにをですか?」
「笹岡さんの……中、赤くなっているところ。いっぱい我慢して……辛かったよね?楽になりたいでしょ?痛くしないから、ね?」
三嶌が優しく微笑む。百合はその顔を見て赤面した。
(なーー!なんか言い方ぁぁ!!ど、どこのことぉ!それぇ!!な、なか……我慢って……痛くしないって……痛いよね?え、何するんだっけ、どうされるの?どういうこと?)
「あの、わたし……いろいろよくわかってなくて……はじ、初めてで、全然わかんなくって……」
「うん、平気。僕に任せてくれたら」
「こここ、怖く、ない、ですか?」
「うーん……怖いって思うと余計怖いかも。あんまり考えすぎないで?笹岡さんが痛いとか辛いは僕も辛いから。優しくしたい」
「やぁっ――、せ、先生は、いつでも……やさ、しいです」
「じゃあ僕に全部預けてくれる?」
(ねぇ、なにこの時間、なにこの会話)
横で待たされている香苗は二人のやり取りに違和感を感じ始める。
「先生……私、慣れて、ません……よく、わかんなくて……そのまだなにも決められないと言うか」
「うん。大丈夫だよ、わかってます。ゆっくり考えて笹岡さんが一番納得できて望む形を選びましょうね。僕はいつでも大丈夫だし、待ちますよ?なんでも不安なことは相談して?」
「せ、せんせい……」
(……だから、なにこの二人の会話、なんかおかしくない?何の相談?なんかさ、変な話してないよね?なにこれ)
傍でボールペン片手に口腔内チェックを待っていた香苗は二人の会話のやり取りにいつしかドン引きしはじめた。
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