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「……なんか、腹減った」
雨でびしょ濡れだった龍くんはお風呂に入り、上がるなりお腹をさすっている。
「なにか食べる? 簡単なのなら作れるよ。オムライスとか」
「オムライス食べたい」
「わかった。作るね」
さっき自分用に作ったばかりで、チキンライスは多く作りすぎてしまったので冷凍していたところだった。ちょうどいい。チキンライスを温めている間に上に乗せるたまごを作った。
龍くんがいるだけで、安心感が全然違う。
「はいどうぞ」
「……うまそう。いただきます」
本当にお腹が空いていたらしく、龍くんはガツガツとオムライスを食べる。やっぱり私は、おいしそうにごはんを食べる龍くんの顔が好きだ。
「ん? どうした」
「龍くんが帰ってきてくれてよかった」
「春菜、半泣きだったもんな」
「だ、だって怖かったんだもん」
「うん。もっとはやく帰ってくればよかった。ごめんな」
龍くんの手が伸びてきて、私の頭を撫でる。同じ年なのに、年上のお兄さんみたいだ。
「龍くんが謝ることじゃないよ」
寂しかったけれど、夜に予定があったのだから仕方ない。
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