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「そろそろ寝るか」
二人でソファに座り、テレビを見ていた。
もう夜の0時をまわっている。さすがに眠くなっていた。でもまだ外は嵐で、雷も鳴っている。一人で眠れる自信がない。
「じゃあ、おやすみ」
龍くんは自分の部屋の前で立ち止まる。今日はこのまま自分の部屋で眠るみたいだ。
私はつい、龍くんの服の裾をぎゅっと掴んでいた。
「……春菜、どうした?」
不思議と、龍くんの声がいつもより優しかった。
「……一緒に寝てほしい」
恥ずかしくてうつむきながら、ぽつりと呟く。
「わかった。俺の部屋に来るか? 俺の部屋のベッドのほうがでかい」
「……うん」
龍くんはからかうことなく、私を部屋に招き入れてくれた。
彼の部屋に入るのは、一緒に暮らし始めた当初、朝起こすために部屋に入って以来だった。あの頃からまったく変わっていないし、散らかってもいない。意外だった。
「ほら、入れよ」
「う、うん……」
緊張しつつも、龍くんのベッドに入る。確かに私のベッドよりは大きくて、二人は入っても窮屈だけど余裕はあった。
彼の体温が高いせいか、すぐに布団の中は温度が上昇する。
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