アイドルラブレス

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あいかは、振り返り言う。 さざ波の中、 「 かぶらくん二人だけのひみつね 」 12月になる冬になり始めた時期のライブ会場には約50人ほどが入っている。 Ikaというメンバー名を胸にした女子に向かい。 鏑 菜高校1年生は叫んだ「 あい! 」 その呼ばれたキスというアイドルグループの内にいるメンバーのIka(吉葉 あいか)はその自分へのリクエストコールに曲の途中を周りが丁度、歌う合間に「 あ゛い! 」と答えた。 その6人組アイドルが舞台で歌い踊る。 その曲は有名な昔の80年に流行った曲であり。 あいかは思ったー こんなものかな? ― そして、 そのあいかと他のかえでというアイドル衣装の女の子と一緒にセンターを前に一緒に後ろに立ち。 そのセンターの美伽は曲のピークで声を張り上げる。 あいかはさらに思う― ミカちゃん格好いい!! ―  そして、曲が終わる。 そのセンターの隣でグループのリーダーのあいかは言った。 「 はい、有名曲歌いましたあー 」 そして、センターの美伽が言う。 「 そして、あたしんちへようこそぉ! 」 都会の中で3階立ての建物の箱でのライブステージ 冬とはいえどむしろ熱気で満ちていて。 鏑 菜が感動したように黄色のハッピ姿にペンライトを振っている。 そして、グループ紹介のあいかの順になったとき皆な一緒に叫んだ「 あ゛い゛! 」 半年前、夏に入りたての頃になる、 木川高校と際和良高校との運動部バスケ部交流試合 鏑は木川高校バスケ部の中で先頭に立つSF(スモールフォワード)という機動力重視で戦っている。 第2クオーターになって7分 鏑がタンタンタンと水拭きの手入れをされた体育館の床にバスケボールを打つ。そして、木川のオフェンス(攻撃側)の選手に際和良高校のリングの中で味方の苛にパスを送ろうとする。 が、際和良高校のディフェンスが目の前に立つ。 鏑より身長が大きいわけじゃないが、 鏑は思うー しつこい ― そしてある人物が近づいてきたー 誰かいないか ―鏑は息を吐く。 そこに鏑は後ろに近づいてきた木川バスケ部のPF(パワーフォワード)の最も点を稼いできた少年の存在に気がついた。 ― 任せろ、鏑 ― 体に汗をややかき始めている鏑はパワーフォワードにバスケボールを両手で後ろへ向かってパスを送った。 後ろにいたパワーフォワードはボールを受け取りドリブルをこなしつつその場で既にバスケットゴール近くの3ポイントラインにいた。 パワーフォワードは今日の為に練習して来た305cmの高さにあったバスケゴールリングに的確へその場で勢いに任せてではあるけれどシュートする。 それはそれで少年から放り込まれる芸術のようなボール運びだったが邪魔をするC(センター)と呼ばれた人物がゴール下にいて。 ― やらせるか! ― バスケの中では敵チーム側の自陣へのゴールを意地でも守る存在が左手で必死なようにボールを手の平のみで叩き払う。 鏑は木川高校バスケ部1年であり木川高校バスケ部はこの土地の中では全国大会とまではいわないまでも県大会での優勝成績があり。 その県の中では運動部バスケ名門校と言われる。 その中では1年で鏑 菜はスモールフォワードという立場を練習試合であっても任される程に俊敏さがあり。 木川高校バスケ部はポイントゲッター(主に点を取る役)のいる選手層というより選手のバランスを考えたチーム構成だったがその意味で機動力重視のスモールフォワードをスタメン(スターティングメンバー)で任されている実力はあった。 既に中学バスケではトップ選手としていた事も確かに選ばれる要素としてあったが。 そこのバスケットコートの体育館の観戦席でひと際に叫び声を上げる女子の中にも女子高校生達もいた。 その悲鳴の中に混じり将来アイドルになるはずの吉葉 あいかもいる。 その時には既に鏑 菜と知り合いだった。 中学の時 汗をかいていた鏑が「 あれ、俺のタオルどこ? 」バッグの中を漁るが。 「 あー家に忘れてきてる 」 その時現れたのが、 「 ファンなんです 」とあいかが言った。 そして、ある物を渡した。肩を覆う程度の大きさの赤い地に青色の自分のあいかの学校名にその女子のネームが縫い付けらているタオルだった。 鏑は「 いいの? 」 あいかは恥ずかしそうに言う「 受け取って下さい 」 そして、あいかはより恥ずかしい気持ちが上回って「 じゃあ 」といい去ろうとした。 鏑はそのタオルを手にして「 あの、待って 」 あいかは立ち去ろうとする寸前に振り替える。 鏑が「 名前は何て言うの? 」 「 あたしあいかって言います! 」 そして、去り際にさらにあいかは元気になり「 頑張って下さいよ。ふふ 」 これが鏑とあいかの出会いだった。 鏑もあいかも高校1年の夏休み 「 そうなんだよ。メンバーな 」ケータイでの電話 鏑が「 えっ吉葉もくんの? 」 相手はにっと笑って「 はは、そうだよ。美加女子校だよ 」 そして、相手は「 いくか?近くの海岸、みんな行くって言ってるぞ 」 それでも鏑が「 うーんそうだな、いく事にするかな 」勿体ぶっていたが内心ではほくほく物の連絡だ。 広い砂浜にはひとけが無い地元の人間の穴場スポットがあった。 海を目の前にして鏑の男友達が美加女子校の女子達と砂を集めて塔を作っていて。 鏑達グループは波を立たせる海の浜にいて海水を使いぱしゃぱしゃと足であそんでいる。 その中に吉葉 あいかもいた。 あいかはといえば「 ばしゃばしゃばしゃ 」と足で海水を蹴っている。 鏑もまるで少年の無邪気さを見せるように「 あはははは 」 いつの間にか。 そこでは鏑とあいかは別行動の2人きりになっていた。 「 はっははは! 」とあいかの前で鏑は笑い声を上げた。 あいかは、振り返り言う。 さざ波の中、 「 かぶらくん二人だけのひみつね 」 勿体付けるかのように白いワンピース姿で鏑に背を向ける。 「 あ、あのかぶらくん? 」 「 あたしかぶらくんの事すきよ 」 「 うん、俺も好きだよ 」 「 それと 」 「 うん、なに? 」 さざ波が足元をさらっていく。 いきなり言った背を向けるまま「 あたし、アイドルオーディションに合格したんだ 」 「 えっ 」 「 えー―――――!!! 」 一瞬で、好きと言われた事を忘れ。 「 スゴイじゃん!! 」 「 かぶらくん。喜んでくれるんだ 」 波はさらにサーと足から引いていく。 「 当たりまえじゃんか、すげー 」 「 そうかな、あたしはかぶらくんがバスケを頑張る姿の方が凄いと思うけどな 」 そして、あいかが鏑に振り向き直りいきなり近付き両手を握り込む。 足にはさらに波がざざーと来る。 「 ねっ、そうしたら 」 あいかの口がさらに何か言いたげに口を開いたが。 なぜか必至な風に「 そうしたら、応援に来てくれる? 」 鏑が「 うん、当たり前だよ 」 あいかは止め、別の事を口走った。 「 そう。応援に来てくれるんだ 」 そして、鏑に背を向け後ろ姿のみが見えた。 「 嬉しいな 」 さらにさざ波が来る足が塩分を含んだ海水で満ち。 「 あたし 」 背を向けたままあいかは涙目になったが必至に耐え。 そのときには鏑にはあいかがアイドル芸能界に一歩入り込むということがどういう事か分からない。 あいかは実はこの場で鏑にアイドルを辞めて付き合って欲しいと言ってもらいたかった。 が、それには鏑はバスケ以外では普通の高校生で無理な考えとも言える。 そして男仲間から「 菜!焚き木やるぞ 」という声が飛んできた。 鏑が、 「 あー、えっ。はい、先輩! 」と答えた それ以来、鏑とあいかが出会う事は無い。 ライブ会場以外では。 少女が高校3年生になったある日 あいかのアイドル活動もやや軌道に乗り始めていた。 しかし問題もあった、あいかにはみっちり組まれたスケジュールはやっぱり一時的なストレスを始めたての為に感じていたし、いざアイドル活動は営業スマイルも多くて。 「 なにより目の前で応援してくれているかぶらくんにその上で気持ちを伝えられないのはなによりも辛い 」とマネージャーに相談した。 けれども、余り具体的な解決方法も無く。 でも「 経営層に話しが回って営業はやや控えるという意見があるから 」というマネージャーの話しで納得はした。 男性の関係に悩んでいるなら「 動物を飼うのはどうか 」という提案をされている。 ― それもいいかなと ―思って猫としても可愛いラグドールを飼うことに決める。 が、基本の鏑のファン活動の姿の悩みはそのままだった。 「 鏑くん熱心なファンなんだよね 」 Ikaの出るステージにはとことん付き合い、常連であり運営側の意見が「 出禁にする訳にいかないし純粋に活動してくれるファンだし 」という意見と「 スキャンダルになるんじゃないか 」という意見があり。 結局このまま様子を見るという事に落ち着いた。 そんな中で今度は倉庫を改造した上でその地下の30人の入るライブステージ そこでのステージで前列に立ち鏑が必至に汗をかいてもやはりハッピ姿にIkaというネームの書かれているグッズのバンダナを頭に巻いて、やはりオタク根性全開の応援をしていた。 そこでは前列にいた鏑の目の前でダンスを踊る事になる。 思わずどうしようも無く鏑とあいかは目を合わせた、 それがアイドルとしての運命であり そして、あいかは思う。 そして、役目なのかも知れない ー かぶらくん。大すきよ ― 同時に鏑はある意味その思い詰めた視線に気が付いた。 そして、思ったのは、 ー 俺もあいかの事が好きだよ ― 鏑はそのバスケで鍛えた持ち前の感で全てを察したがその時は取り合えず応援する事しかできなかった。 その時は、鏑 菜も高校3年を迎え。 ていた。 木川高校での教師との進路相談 親との会話では「 このまま地元の大学に進学させるつもりです 」 「 はい、僕もそう考えています 」 「 バスケより受験の勉強へ菜には専念させたいと思います 」 「 そうですか 」と進路相談の担任 別の日の夕方。 レストランで家族での食事をする事になっていた。 菜の父が「 ところで。最近、勉強の方はどうなんだ? 」 菜が「 それは 」 「 お兄ちゃん。キスっていうアイドルグループに夢中だもんね 」 「 そうなのか? 」 菜の姉が言う「 あいかっていう地下アイドルに入れ込んでやんの。オタク活動と受験と天秤にかけるどころじゃないのに 」 菜はチーズパスタが目の前に用意されている状態で。 だけれども食べる気にはなれない。 「 それはそうだけど 」 妹が言う。 「 バスケ部も辞めるんだし。今はアイドルファン活動も自粛したらいいのに 」 「 そうよね。大学に入ったら自由にできるんだし 」 今度は菜の姉が答えた。 共働きで働いている母親が言った。 「 まあ。全員、さいを追い詰めるのは良くないわよ 」 そして、言う言葉は。 「 さいの意見も聞かなくちゃ 」 だけど「 大学に入ればファン活動していいんだよね。お父さん 」 菜は本心では心が揺れていたけれど。 「 バスケも大学に入ったら。再開していいの? 」 「 もし受かったら。大学に入る為の入学金も学費もだしてやる 」 そして「 バスケも受かったら続けるんだぞ 」 その周りの意見と自分の言葉に菜はある意味で納得する。 その週からあいかへのファンとしてのアイドル活動は参加する事は無かった。 それもこのままIkaへのファン活動もバスケット活動も縁遠いものになるきっかけだ。 それ以来キスのアイドルグループの姿は鏑にはあまり目に入る事は無い。 6ヵ月後 鏑は全てが上手くいき、受験は合格し大学へ入学する事が出来た。 大学構内 鏑が彼女と会話をしていた。 「 はは、それでね。美味いコースメニューが出るレストラン知ってるんだ 」 その彼女に言う。 それでも鏑は構わず食事に誘う。 「 奢るよ。一緒にいかない? 」 彼女が鏑の事をかなり気に入ってるのか「 うーん、いいわよ。さい 」 大学での友達が名前を呼ぶ、彼女が振り返った「 おー-い、彼氏と話してないで時間ある?吉葉 」 彼女はあいかだった。 そして、キスという地下アイドルグループは解散していた。 Ikaといえば芸名は同じに高校の卒業を機に芸能活動を引退する事をファン達の前で宣言し。 その宣言はネットに流れたが鏑は目にする事は無かった。 8月 鏑とあいかは両足には裸足で手をつないでいてさざ波が足元を流れて行く。 砂浜 ばしゃばしゃばしゃと足で海水を蹴るあいか 無邪気さを見せる鏑は海水を使いぱしゃぱしゃと足で遊ぶ あいかは勿体付けるかのように白いワンピース姿で鏑に背を向ける。 あ、あのかぶらくん? あたしかぶらくんの事すきよ うん、俺も好きだよ あたし、アイドルオーディションに合格したんだ えー―――――!!! スゴイじゃん!! そして、それは思い出の一ページとなる 鏑とあいかのお互いの思い出としての最後のあいさつであり最後の言葉 ー--すきよー--  ー-好きだよー-
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