光の中の優しさと闇の中での後悔

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たんぽぽの綿毛のように白くあたたかな日差しの中、三つあるうちの真ん中にあるベンチが彼女の特等席だった。そして時折ささやく風にふわりとさくら色のワンピースを波打たせながら座る彼女の隣が、私のお気に入りの場所だった。二人まるで野良猫のようによく日の光とじゃれあっていた。しかしその光こそ、互いをみえなくさせるものであったと今はおもう。そのまばゆさが、次第に濃くなっていった彼女の影をも塗りつぶしていただなんて分かるはずもなかったんだと私は一人で言い訳する。意味なんてないよなと思いつつも、今日も私はあのときの公園で、彼女の特等席であったベンチの端に一人分の隙間を空けて腰かける。月の光が影を際立たせ、しっとりと暗い闇が辺りを包む。ひやりとひた感覚に寄りかかりながらふと思う。彼女は今泣いているのだろうか、それともー
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