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「珍シイナ、オレノ姿ガ見エタナンテ。マァ、コッチモ苦シクテ油断シタガ」
「というか、降りろ。いつまでも人の肩に乗るな」
「ソレハ無理ダ。サッキ契約シタカラナ。青木ノ命ガ尽キルカ、オレガ浄化スルノカ、ドッチカデシカ離レラレン」
「契約だと!?」
「ソウダ、オマエノ耳ニ、印ヲ刻ンダ。青木ハ、コレカラオレノ寄生先、並ビニ捕食物ヲ探ス手伝イヲシテモラウコトニナル」
「……」
意味がわからん。
この汚いものをどうにかしようと左手で右肩を振り払うと、器用に避ける。
意外に機敏のようだ。
何度も攻防を繰り返していると、白衣の中で呼び出しコールが鳴る。
「青木です」
慌てて白衣を着ながら、倉庫を出た。
呼び出しは小児科。
今夜の小児科医師は、先ほど運び込まれた子供の緊急治療にあたっているという。
そのため内科医である俺が呼ばれたのだ。
駆けつけたのは、六歳の男の子の部屋。
カルテを確認すると本日虫垂炎の手術を終えたばかり、術後の想定内だったが夜中に痛がり熱が出て、泣きじゃくっている。
鎮痛剤を投与し、様子を見ていると呼吸が落ち着いてきた。
遠くで聞こえるナースコールの音にソワソワしている看護師に「こっちはもう大丈夫だから、戻っていいよ」と伝えるとホッとした顔で病室を出ていく。
お腹の張りもなさそうだし、スースーと寝息を立てはじめた子供に一安心した時だった。
「チッ、マダ餌ニハ、ナランナ」
「は?」
あの声が聞こえた方に目を向けたら、右肩の上にアイツがのっていた。
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