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魔法がある異世界に転移した田中平吉。 異世界転生や異世界転移をするには、異世界からの召喚、居眠り運転トラックにひき殺される、超絶ブラック企業で過労死する、とかのルートが存在する。 19歳の田中平吉は超絶ブラック企業で過労死したことにより異世界転移したのだ。 女神アンジェリカの力により異世界に転移させられ生き返った。 平吉は魔法を使いたいと思っている。 平吉は魔法について女神アンブレカに質問することにした。 平吉は女神アンジェリカから「異世界では女神アンブレカの世話になりなさい」と言われているのだ。 「アンブレカさん、僕は魔法を使いたいんですけど、どうすれば使えるのでしょうか」 「それなら、まずは魔法協会で特性の試験を受けないとですね」 「魔法教会で特性の試練ですか」 「はい」 (辛くて痛いとかの試練だと嫌だけど、魔法を使うにはしかたないか) 覚悟を決めて、パーティーの皆と王都にある魔法協会へ。 (なるほど、魔法教会ではなくて魔法協会か。特性の試練じゃなくて試験ね) 魔法協会では、魔法に対する特性を調べてくれるらしい。 で、魔法を使える特性があっても魔法協会に入会金を払って登録しないと魔法を使えないとか。 魔法協会の会員じゃないと魔法行使に必要な魔石を買えないから、どのみち登録しないといけないらしいけど。 魔法に関して違法行為をしたら死罪になることもあるそうで、怖くて違法行為なんてできないよ。 この世界では魔法行使に魔石が必要なんだね。 魔法の特性がある人なら特性に応じた魔石を使えば魔法が発動する仕組みらしい。 難しい呪文とか覚える必要もなくて、イメージするだけでいいようだ。 魔法特性試験の料金は1万エンだって。 魔法協会の会員になる登録料も1万エン。 魔法協会の年会費も1万エン。 なかなか良心的な料金なのでは。   ちなみに、1万エンは日本での1万円くらいの感じだと思う。 安いパン1つが100エンだから。 しかし、僕はお金がない。 アンブレカさんが貸してくれた。 ありがとう、アンブレカさん。 女神様みたいに優しい人だ。 本当に女神様なんだけど。 「ちゃんと返してくださいね。返さないと呪いのシールを貼りますから」 と言われたけど。 呪いのシール? 女神様が呪うの? ま、まあ、ちゃんと返せばいいんだ。 ちなみに、アンブレカさんの魔法特性は「重力操作レベル3」らしい。 魔法のレベルは10まであるとか。 女神様なのにレベル3なの? 100キロまでの重さの物を30キロくらいに軽くできる魔法だって。 行使に使う魔石が高いから、ほとんど使ったことがないそうだけど。 それに、アンブレカさんはB級レベルの身体能力なので、100キロの物が3キロくらいの感じで持てるそうだ。 ……それ、重力操作魔法なんて必要ない身体能力だよ。 さて、僕の魔法特性はどんなのだろう。 魔法が使える特性がある人は10人に3人くらいらしい。 魔法特性がない人には他の特性があって、それらはスキルと呼ばれているとか。 スキルは遺伝や育った環境とかの影響が大きいらしい。 あと、1万人に1人くらいで生まれつき持っている特殊なスキル、ユニークスキルなるものを持っている人がいるそうだ。   魔法のある異世界に来て魔法が使えないなんて悲しすぎる。 神様、いや、女神様、お願いします!   しょぼい魔法特性でもいいです、贅沢は言いません。 透明な丸い玉を触ったり、真っ黒な液体に手を入れたり、目を閉じて数字を当てたり、そんな試験を受けた。 「結果が出ました」 と、魔法協会の試験官さん。 ゴクリ 「あなたの魔法特性は……」  「特性は」 「……」 「……」 「……」 早く言ってくれよ! 「農家です」 「はい?」 「野菜とかを作る農家です」 野菜? 「……野菜魔法、とかですか?」 「いえ。あなたに魔法特性はありません」 「えっ!?」 「あなたのスキルは農家レベル8ですね」 「……僕は魔法が使えない?」 「かなり美味しい野菜は作れます」 いや、それはそうかもだけど。レベル8だもんね。 「どうにかなりませんか?」 「どうにかしなくても、すごく美味しい野菜を作れますよ」 そんな…… ……終わった、僕の異世界生活。 いや、それよりも魔法以外のスキルも魔法協会で調べてくれるんだ。 普通、そんなのは教会でやるとかだよね。 アンブレカさんもダリアさんも、すごく落ち込んでいる僕に「ざ、残念だったね。でも、魔法が使えるから偉いとかないし、魔石は高いからね」とか言ってくれたけど。 僕は魔法が使いたいから超絶ブラック企業で過労死するまで頑張ったんです。 『ヘイキチ、魔法特性がないことがそんなに悲しいのか?』 「レインさん。それはそうですよ」 『それなら魔法の指輪を売ってやるぞ』 「え?」 『レンタルでもいいぞ』 「え? あの、僕は魔法特性がないのに魔法の指輪が使えるんですか?」 『すでにマジックアイテムの自動翻訳指輪を使っているではないか』 「あ、そうです」 『魔法特性がないとマジックアイテムは使えないのだが、ヘイキチは異世界人だから使えるようだな』 そうか、レインさんから魔法の指輪をレンタルしたら僕は魔法使いになれるのか。 「レインさん、私は魔法特性がないけど自動翻訳指輪が使えてますけど」 と、ダリアさん。 『うむ。ダリアさんはユニークスキルがあるからだな』  「あ、なるほどです」 なんかさ、アンブレカさんは女神で魔法特性があってすごいマジックアイテムを所有してるし、ダリアさんは超絶美人でユニークスキルを持ってるし。 なんかずるくない?  
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