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拝啓 地球の皆さん、田中平吉です。 僕は本当に異世界に来たようです。 女神様がいて魔法やダンジョンとかもある、そんな異世界です。 超絶ブラック企業で過労死したら異世界転生することがある。 そんな都市伝説は本当でした。 転生じゃなくて転移だったけど。 あれ? 死んだら転移できないから死んでない? ま、まあ、無事に魔法のある世界に来れたので良しとします。 こちらの世界で僕は女神アンブレカ様のお世話になることになりました。 女神アンブレカ様は会話ができるマジックアイテムを所有してます。 そのマジックアイテムは雨傘の形をしており、レインさんと呼ばれてます。 こちらの世界に雨傘は存在しないようですが。 魔法があるから雨傘は必要ないのかも。 で、どうやら僕は天界語しか話せないらしく、それだと困ると思うのですが。 英語なんて何年も学校で習ったのにまともに使えないし。 こちらの言語をマスターするのに何年が必要なのやら。 レインさんはすごいマジックアイテムらしく、いろんなすごい物を出してくれるとか。 代金は必要らしいんですが。 そんなにすごいなら、自動翻訳の指輪とか出せるのでは。 その指輪をしたらどんな言葉でも理解できて会話ができる、みたいな。 レインさんに聞いてみました。 『ふむ。あるぞ』 と、レインさんは答えました。 あるようです。 ・・・・・ アンブレカです。 天界より私の家に来訪されたタナカヘイキチ様。 ヘイキチと呼んでくれと。 タナカは家名らしいです。 タナカ家のヘイキチだと。 ヘイキチ様がレインさんに「どんな言語でも理解できて会話ができるようになる、そんな自動翻訳の指輪みたいなのないですか?」と質問されました。 そんな都合の良い物が。 ありました。 あるようです。 レインさん、そんな都合の良い物があるなら早く言ってよね。 レインさんって、基本的に聞かれないと言わないのよ。 マジックアイテムの自動翻訳指輪。 1日1000エンの使用料です。 好きなデザインを選べて、サービスで好きな宝石を1つ付けれるとか。 ダリアさんとカタログを見て、これが良い、あれが良い、うーん、こちらもとか迷ってます。 ヘイキチさんは宝石なしのシンプルなプラチナ製の指輪を選びました。 私は迷いに迷い、ピンクゴールドにエメラルドつきの指輪にしました。 ダリアさんはゴールドにルビーです。 「アンブレカ様、とってもお似合いです」 「ありがとう。ダリアさんの指輪もとっても素敵」 ダリアさんと会話ができるようになりました。 私の極度の人見知りも少しは治っているようです。 ・・・・・ ダリアです。 私がリーダーをやってる冒険者パーティー「ミッツ」に新しいメンバーが加入しました。 チキュウのニホンという国から来たヘイキチ様です。 レインさんから自動翻訳指輪なる物をレンタルしました。 ヘイキチ様はアンブレカ様と同じように、天界語しか話せなかったので。 天界=チキュウ? 天界にもたくさんの国があるみたいですね。 200くらいの国があるとか。 チキュウはどんなところなのか聞いてみました。 貧富の差が激しく、戦争や人殺しもよくあるそうです。 神様や女神様、ホトケ?様もいるけど、いないような助けてくれないような、そんな感じの世界らしい。 「まったく、神もホトケもないよ」とヘイキチ様。 天界のチキュウって怖いところなんですね。 私はアンブレカ様、ヘイキチ様と呼んでますが、みんな「〜さん」と呼ぶことにしようと多数決で決まりました。 女神アンブレカ様や天界人のヘイキチ様を「アンブレカさん、ヘイキチさん」とお呼びするのは大変に恐縮なのですけど。 パーティーメンバーによる多数決で決まったのでしかたないです。 ま、まあ、私はリーダーですもんね。 「それにしても、ダリアさんはすごい美人だよね」 「ヘイキチさん、そんなお世辞はやめてくださいよ」 「いや、本当に。日本のトップアイドルより美人だもん」 ニホンのトップアイドルとは何でしょう? 「そうそう、ダリアさんはすごい美人だよね。それだけの超絶美人なのに、王族や貴族、大金持とかに愛人やメイドとかに勧誘されなかったの?」 「もう、アンブレカさんまで。私は少しだけ可愛いくらいにしてるんですよ」 「「え?」」 そう、私はユニークスキルで他人の思考が読めるし、他人の私への認識を変えることができるの。 ・・・・・ アンブレカです。 ダリアさん、ヘイキチさんとお茶してます。 「へー、ダリアさんはユニークスキルで見た目を変えてたんだね」 「そうです。女神様のアンブレカさんと天界人のヘイキチさんには効いてないようですけど」 ダリアさんは超絶すごい美人なんだけど、ユニークスキルで自分の姿をちょっとだけ美人にしてるらしい。 「ダリアさん、みんなからすごい美人だって騒がれないからおかしいと思ってたんだ」 「いやですよ、私はそんなすごい美人じゃ」 「すごい美人だから騒がれるのが嫌で、ユニークスキルを使って見た目を下げてるんだよね?」 「……まあ、はい」 だよね。 「でも、アンブレカさんも美人ですよ」 あら、いやだ。超絶すごい美人さんに言われてもね〜。 「私なんて」 「ヘイキチさん、アンブレカさんは美人ですよね」 「うん。美人だと思うよ」 そんなこと言って。 「もう、やめてくださいよ」 「それにしても、アンブレカさん。普通に会話できるようになりましたね」 そうなんだよ。 「うん、2人のおかげでね」 「自動翻訳指輪の効果もあるかもですね」 「そうだね」 お互いの指にしている自動翻訳指輪を見せあう3人。 レインさんからレンタルしているマジックアイテムの指輪なのだ。 買い取りしたら1000万エンだけど、1日1000エンでも使えるらしいからレンタルにしたんだ。
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