空腹の幻影

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「お待たせしました」  という声と共に、ステーキが現れた。ジュージューと焼ける音が鉄板からしている。  その隣には、パンが置かれ、湯気が立っているコーンスープもある。  俺は、何も言わずそれらにむしゃぶりついた。  美味い。  思ったのは、それだった。  ステーキの焼き加減も、パンの柔らかさも、スープの舌触りも、全てが絶品だった。 「もっと、もっと持って来い!」  俺は、食べながらそう叫ぶ。 『かしこまりました』  俺の隣に立った初老の男は、そう言って頭を下げた。
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