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考え直すはずだよね?
――それから、月日は経て。
「……さて、どうするべきか」
「ん? 何か言ったかい、紫の君」
「あ、ううん何でもないの!」
霞んだ月の浮かぶ、ある日の夜のこと。
二条院の一室にて、ぼんやり呟きを洩らす私に穏やかな微笑で尋ねるのは、もはやお馴染みと言えよう見目麗しき青年――紫の上の未来の夫たる、源ちゃんこと源氏の君その人で。
さて、そんな私の懸念とは六の君――右大臣の六人目の娘であり、次期帝たる朱雀帝の后となる朧月夜に関してで。
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