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「あんな、僕、あんまりながくないかも…」
と笑いながらそう言ったあなた。
「あんな、今日4月1日やけど、そんなウソ、冗談でも絶対言ったらあかん!大人やし、言っていいウソとあかんウソの区別つくやんな?今日は世界共通ウソ言っていい日やから、それに免じて許すけど…。でもそんなウソ、もう絶対、ぜっったい言ったらあかんで!わかった!?」
そう怒りながら言った私に、苦笑いしながら、でも、それに対して何も言わなかった。
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彼が食道がんになって数年経って…。
去年の秋から冬になる頃、彼が話してくれたことがあった。
『がん細胞が食道の空洞を塞いできて食べられへんようになってきたから〈ステント〉というストローの様な管を食道に処置してもらってん…それ入れたら最期な、はやいらしいねんて』…と。
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4月1日にああ言ってから少しして、吐血を繰り返して本当にあなたが言った通りに、あっという間に逝ってしまった。
はやい…まさかそんなにはやいなんて思いもしいひんかった。
なんであなたが、あえて4月1日に言ってくれたのか…その意味を私は考えた。
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