1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「いいんですか、あんなこと言って」
ミラが帰ったあと、ハヅキは問う。
「ミラ、綾瀬くんのことが好きなんじゃないですか」
「だろうな」
「ミラを個人所有にでもするつもりですか」
「無理だろ。綾瀬は大学生だ。そんな経済力ないだろ」
直接会ったことはないが、ミラのトラブルのおかげで、綾瀬のことはコミュニケーション・スクール通じて情報だけはよく知っていた。ごく普通の大学生で、人とうまく話せない極度の人見知りで、それを克服するためにスクールに通っている、真面目で寡黙な青年。悪い男だとは思わないが、正直、周りが見えていないと思う。
ミラがいま契約しているコミュニケーション・スクールでは、様々な役割の担当者と様々なシチュエーションを学ぶ。得意不得意を探りながら、カウンセリングなんかもする。その中でミラは友達という役割らしいが、どうにも恋人未満みたいな関係になりがちらしい。
今まではミラが断っていたからなんとかなってきたが……まぁ、色々あり、スクールからたびたび連絡は入ってはきたが……綾瀬の場合は違う。ミラが断れないからだ。
最初のコメントを投稿しよう!