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桜はある決意を胸に秘めて、ごうを中庭に呼び出した
「桜……驚いた。こんなに早く返事もらえるなんて。
本当に恩にきる
このお礼は必ずするから、何でも言って」
「━━痛くはない?」
「あぁ、注射と変わらないよ。少しだけで大丈夫だから。」
「ねぇ、本当に何でも聞いてくれる?」
「あぁできることなら」
「じゃあ、この後しばらく会いたくないからすぐに出て行ってくれる?」
「━━えっと、それは難しいかな……ここにはしばらくいるように言われてて……」
「私ね、もうすぐ手術受けるの。辛い手術なの。だから……見られたくないの……あなたの恩人のお願いよ……?」
「……わかっ……た。なんとかする」
満面の笑みを浮かべて桜はごうに「ありがとう」と伝えた
「お礼を言うのは僕の方だけど。じゃあ、すぐに終わらせるから」
チクッとした痛みがあったものの、時間的には数十秒だったと思う
ごうを半ば突き飛ばすように押し退けて、桜は首元を隠しながら病室へと戻るふりをした
病気でなければ傷口を隠せばバレないだろう
だが今の桜にとってこの出血を止める術はない
傷口を見られたらバレてしまう
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