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第14話 ひつじとカラスは見守られます。
翌朝、鳴が目を覚ますと壮がいなかった。
綺麗にされた体は壮がやってくれたのだろうと思い、どこにいるのかと探す。寝室をでてリビングへ行くと、子猫が出迎え、キッチンで朝食を作る壮がいた。
「おはよう、お嬢さん。よく眠れたかい?」
笑いかけてくる壮に鳴は顔を赤くして俯くことしかできなかった。
昨日のことを思い出してしまい、まともに顔が見られないのだ。
そんな鳴を見て壮は微笑むと彼女を抱きしめた。そして頭を優しく撫でてくれるものだからもう我慢できなくなってしまい、自分からも抱きつき返したのだった。
「ふふ、なんか恥ずかしいのに幸せです」
「お嬢さん……」
鳴が壮の好きな笑顔でそんなことを言うものだから、すっかり壮は悶えてしまった。
可愛すぎる、と。
「とりまるさん?」
心配そうに見つめてくる鳴になんでもないよ、と言って再び頭を撫でる。すると安心したように笑ってくれるものだからもう堪らない気持ちになるのだった。
「あー……もう……可愛いなぁ……」
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