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真桜は、はじめこそクラスメートがお見舞いに来てくれていたが、真桜の居ない学校生活に慣れたのか、7月に入ると美桜と圭太しか来なくなってしまっていた。
「お母さん……皆んな……私のこと、どうでもよくなったのかな?」
真桜は病室のベッドに横になり、窓の外を見つめながら安宅 美奈にそう訊いた。
「そうじゃないわよ?皆んな忙しいんじゃないかしら?……それよりリハビリ、最近してないわね?」
安宅 美奈は優しく真桜の頭を撫でながら、そう言った。
「……やる気が起きないんだ。勉強もしなきゃなんだけど、何もしたくないって気持ちが膨らんで……それに」
「それに?」
「夢を見るの。職員室の先生たちが、私を、ブスだって笑っている……」
「!!!それは!!!」
安宅 美奈は思わず大きな声を出してしまった。
「どうしたの?お母さん」
「え?……あ……なんでもないわよ……さて、そろそろ美桜と圭太くんが来るわね?」
と安宅 美奈は真桜に販売店に行くと告げて、病室から出た。
――――――真桜は記憶を取り戻すかもしれない――――――
安宅 美奈はそう感じ、その記憶が蘇らないように……と願わずにはいられなかった。
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