合唱コンクール

1/4
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ

合唱コンクール

「瑞紀、合唱コンクールのピアノ弾くの?」 「ああ。弾く事になった」 「お母さんも聞きに行きたいわ~」 俺達の学校では、クラス対抗合唱コンクールがある 「高校なんて、合唱コンクールない学校も多いのになぁ」 「ゆず、別に音痴でもないのに、学校の行事嫌がるなんて、珍しいな」 「あんなに沢山の人で歌うなんて、なかなかないわよ~」 皆で歌うのはいいんだけど…… 「低い声、出しづらいんだもん……」 「ああ、ゆずは女子のアルトくらいが、丁度いいもんな?」 女子の…… 「もうちょっと低くなるかな……」 「あら、ゆずはその位が可愛いくて、ちょうどいいのよ?」 「可愛いくなくていいの!男らしくなりたいんだよ!」 「ふ~ん?……じゃあ、ゆずはどんな男目指してんの?」 どんな…… 「えっと……男っぽい濃い髭が生えてて、顔も体ももっと角ばった感じになってて、筋肉ムキムキで……」 「まあ!そんなのゆずじゃないわ!」 「ゆず……儚い夢は早々に捨てろ」 「何で!?まだ分かんないじゃん!」 「ゆずの遺伝子は、父さんと母さんから受け継いでるんだぞ?何処にそんな男らしさがある?」 父さんと……この母さんと…… 「あら、眞紀さんああ見えて、けっこうしっかりと筋肉付いてるのよ~」 「まあ、目指すなら細マッチョだな。髭は父さん普通に生えてる方だけど……俺達はどうかなぁ」 「あら、髭剃りも大変なのよ?肌も荒れちゃったりして……眞紀さんは、お肌ツルツルだけど」 ん? 「父さんはツルツルなのに、なんで母さん、そんな事知ってるの?」 「だって看護師時代、数え切れない程の髭剃りしたもの~。きっと我が家で1番髭剃り上手なのはお母さんね。瑞紀とゆずの初めての髭剃りは、お母さんが教えてあげるわね」 「……えっ?母さんに教えてもらうの?」 「そうよ?だって眞紀さんのお髭じゃレベル1だもの。色々教えてあげられないかもしれないわ。ゆずのお髭は、どんなかしら~?楽しみね~?」 なんか、父さんの髭、ディスられてる? 「……や…やっぱ、髭いいや……別にそんな、なくてもいいや」 「あら、そう?」 「うん……生えても、父さんと同じレベル1でいいや。体……うん。体鍛える事にするよ」 「懸命な判断だな。筋トレなら付き合うぞ」 髭剃り……母さんに教えてもらう人っているのか?
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!