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「ほんとうは男の子が好きだとか?」  私の問いに、私の恋人は首を振った。 「私に魅力が感じられない?」  私の恋人は目を伏せた。  私の恋人のまつげは長い。  肌はボーン・チャイナのお皿みたいに白くすべすべしている。私はそこに触ってみたいと思っている。  付き合ってもうすぐ三ヶ月になるのに、彼は触らせてくれない。  私のことも触ろうとしない。   「ねえ。ストッキング、履いている?」  私の恋人が視線を上げ、私に呼びかけた。  私は彼がそんな趣味を持っていたのかと驚く。  つまり、スカートを履いてストッキングを履いているようなタイプの女の子が、好きってこと。 「そうじゃない。君にスカートを履いて欲しいとか、そういうことじゃないよ」  彼は悲しげにティーカップを口に運んだ。彼の口元で琥珀色の紅茶が揺れている。 「ただ、ストッキングが必要なんだ」  私はストッキングを履いていなかった。私はワイド目のパンツにスニーカーという格好だった。  もちろん靴下を履いていた。  そこは大学近くのショッピングモール内のカフェで、高い天井には白いシーリングファンが回っていた。  私はそのファンシーなカフェを出て、モール内の靴下店でストッキングを買って戻った。    生地がごく薄い、肌色の、いわゆるパンティストッキング。
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