死が突いた血

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これは3月だったと思います。学校でひとみちゃんと話してるとまさとくんが急に「いっしょに帰ろう」とぼくに言ってきました。 帰ってるとちゅうに色んなことを言ってきました。おまえの母さんはしんでないし、フリンしてるとか、給食のやつのせいでオレまで笑いものだったとか、何でいつもひとみといっしょにいるんだよとか言ってきて、そうしてからぼくのおなかをなぐったりけったりしてきました。ぼくはあやまりましたが、ゆるしてほしいなら自分の口からネコをころしたってみんなに言えよと言われました。そしたらひとみはもうおまえには話しかけてこないだろうなと言いました。 気づいた時ぼくはまさとくんをつきとばしました。 まさとくんのうしろは急なかいだんでした。 まさとくんは下までころがりました。 いつのまにか血まみれになってました。 「まさとくん……だいじょうぶ?」 「……うん」 「ぼくのせいだよね」 「……ううん」 「ごめんね」 「……うん」 まさとくんは空を見ながらうめき声みたいなへんじをしました。そのあと近くの人にきゅうきゅう車を呼んでもらいました。 それから何日かあとおまわりさんがぼくに色んなことを聞いてきました。その日は4月1日。 おまわりさんは 「じゃあキミがつきとばしたわけじゃないんだね」と言ったので、「はい、足をふみはずして落ちました」と答えました。ウソですが、エイプリルフールだし、まさとくんはぼくのせいじゃないと言ってくれたからだいじょうぶだと思います。
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