1#「僕、猫飼ってるんだ」

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 それは、4月1日の前に友達についた嘘だ。  「僕・・・家で猫飼っているんだ!!」  いや、嘘をついた友達と言えるのだろうか?   僕にはコンプレックスがある。  それは、自分には何も飼ってないという事だ。  というか、家族は全員猫や犬どころか動物が全部嫌いな訳で、動物が好きなのは家族で自分のみだ。  自分は、手提げバッグや弁当や水筒の柄は動物をあしらったものが欲しいのに、うちの親は何故か乗り物をあしらった柄の物を買い与える位だ。  本も、動物物語が読みたいのに、うちの親は偉人の伝記ばかり読ませようとしている。  「あんたはね!偉い人になって、この国を背負って立つ人間になりなさい!」  が親の口癖で、  図書館から本当に心から読みたかった動物物語の本を借りて家で読んでいると、それが親にバレて、  「早く図書館に返して来い!」     と、怒鳴られるのが辛かった。  無論、家には動物をあしらった物は無く、テレビの動物番組は直ぐにチャンネルを変えられる位に徹底してこの家から『動物』という存在を排除するのがとても苦痛だ。  無論、産まれてこの方動物園や水族館に連れて行って貰って無い。どんなにせがんでもだ。  そんな動物嫌いだらけの家族に育まれたが為に、僕は毎日動物に飢えている日々を送っている訳で。  だから、家で猫を飼ってるだの言ってしまった時には、自分はとても後悔した。  この家で猫や犬を飼うなんか100%無理だ。  近所のペットを見ただけで親はヒステリーを起こしておやつ抜きにされる位にこの家族は異常だったからだ。  更に困った事に、もう一度繰り返すが今日はエイプリルフールではない時に、こんな言い出しっぺをしたということだ。    
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