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“元カノ”。
全女にとってチラつくだけでも嫌な存在が、私の目の前にどーんと現れた気がした。
「えーー」
「だって。真面目に小中高大過ごして来てそんな芸当が出来るのって、普通に過去に交際経験がある男だけでしょ?」
「えっ、そ、そうかな?」
私にとっては彼が人生で初めての彼氏だから、彼に前の恋人関係が居るだなんて想像をあまりしたことがなかった。
ミキは眉間の皺を伸ばしながら私の話を聞いてくれる。真っ黒なストレートの黒い髪に健康的な肌をしたミキは頼れるお姉さんって感じ。
「例えば、他にどんな気が利いたことしてくれるの?」
「ヒールで歩いてて、血が出ちゃったときにそっと絆創膏出してくれたりーー」
「ほぅ」
「薄着のときに”寒くない?”って気遣ってくれたりーー」
「はぁ」
「女の子の日にはあったかいココアを淹れて休ませてくれたりーー」
「うーーん」
ミキは深いため息と共に持っていたカップを二度机に置いた。その仕草にはまるで裁判官が判決をくだすような重さがある。
「ギルティ。それはもうかなり元カノに女の子の生態を仕込まれてるでしょ」
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