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序章
《クラットセム南部山脈》
クラットセム帝国の南部に位置し、クラットセム帝国とドランロード王国を南北に分断する山脈。冬には毎年、雪が積もる。
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昔の話をしましょう。
昔、世界は戦火に包まれていました。
昔、世界は絶えず鉄の雨が降り注いでいました。
昔、世界は百余りの国に分かれ、争いを続けていました。
それは大きな動乱を呼び、市民は抑圧され、王は殺され、国は無くなり、国は分裂する。それが、この世界の常でした。
昔、世界には『神』『英雄』『主』と様々に呼ばれた、今はもう忘れられた、神話や御伽噺として語られる、ある帝国の王女と、ある王国の王子がいました。
昔、世界で彼らは自らの国から出て、新しい国を作り、世界を治めました。
そして、国を四人の統治者によって分割する。
これが、この世界に残っているすべての始まりの歴史。
ここに記すのは、それよりもずっとずっと後の私の記憶。
ここに私の記憶とある物語を、
記そうと思う。
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