1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
ハロウィンは俺のためのイベント
今日は10月31日。ハロウィン!
堂々といたずらできる日だ!
悪魔と人間のハーフの俺のためのイベントだ!
「ありさ、ハッピーハロウィン! トリックオアトリート!」
俺は放課後、隣のクラスに行った。
ありさは、目を丸くしている。そりゃそうだ。
俺がドラキュラの格好をしているからな!
「どうだ、牙も翼もホンモノだぞ! 迫力あるだろ!」
「史哉、うちの高校が私服OKだからってやりすぎだよ」
「いや、牙と翼はホンモノ……」
「史哉って毎年ハロウィンになったら、その格好するよね。あのさ……」
ありさが、言いにくそうに口を開く。
「見飽きたよ。その仮装」
「な……!?」
俺は床に突っ伏した。
「史哉は顔がいいんだから、アニメキャラのコスプレとかしたらウケると思うよ」
「ドラキュラはダメなのか……?」
「ダメってわけじゃないけど、古すぎるかなあ……」
「古い……!?」
仕方ないだろ。
いつも牙と翼を隠している俺にとっては、ハロウィンだけが、堂々と変身をとける日なんだよ。
人外の俺だけ、毎日ハロウィンごっこみたいなもんなんだよ!
あー、うまく変身できなかった子供時代を思い出した。
牙が生えないようにマウスピースをつけたのに、幼稚園児になったらニョキニョキ出てくるし!
翼があるからランドセルを背負ったら、背中におできができるし!
悪魔エネルギーを使わず楽できるのがハロウィンなのに!
最初のコメントを投稿しよう!