オワカさんは歌が好き

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オワカさんは歌が好き

今日は、母方の祖母 オワカさんの命日でした。 明治35年日本橋生まれ。 オワカのお祖父さんは江戸城の下級藩士で ゴイッシン(明治維新)で職を失い 生きるために「棒屋」と言う職人になったそうです。 「棒屋」っていうのは 車の心棒を作る仕事だそうです。 棒を作って商売になるのでしょうか⁈ その頃の運搬は全て人の曳く荷車だから 消耗品である心棒は需要が大きかったらしい。 特に、住んでいた日本橋は 魚河岸もやっちゃば(野菜市場)もあったので 車は大量に必要だったのです。 魚河岸や市場が築地に移転したのは関東大震災後。 今はさらに、豊洲に移転しましたね。 ワカというのは通称で 正式には、おばあさんの名は アカなのだそうです。 字は「閼伽」と書き、 梵語(サンスクリット語の仏教用語)。 アクァ、と発音し、 インドからシルクロード一体に広がり ヘレニズムに入ってラテン語ではAQUAとなった。 そう、「アクア」です。 意味は「清らかな水」です。 古代のオリエンタル世界に 広がりを持つ観念的な単語でしょう。 ほとんどが砂漠乾燥地帯であったシルクロードでは (清らかな水)というものは 生命に直結もし、とても貴重な概念の 単語だったと想像に難くないです。 その「アクァ」は、水の豊かな日本に渡ると ただの清い水と言うより、もっと貴重な水 「神仏に捧げる水、正月に初めて汲む水」=「閼伽水」 という意味になりました。 そんな素敵な名前をつけられたオワカさんですが ちょうど大正デモクラシーがお年頃。 東京では、自由な文化の華開いたのと反面、 反共産主義の取り締まりが激しく アカ、と言う名前も「赤」、つまり共産主義に重なる。 それで通称をワカに変えたそうです。 オワカさん、とても歌が好きな人で ちょっとした時にスッと歌うんです。 私が知ってるのはお婆さんになってからですが 若い母親だった頃から歌が好きで 仕事をしながら何かと歌っていたそうです。 歌っていたのは明治、大正の歌。 フジノンの同世代は、知らない歌ばかり。 今では無くなったような歌もいっぱいあるのでは? 母を通して伝わった歌 オワカさんから直に教わった歌 せっかく歌ってくれた歌 覚えてる限り思い出してみました。 歌詞は覚えてるままに、間違っているかもしれませんが。
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