真似

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 姉が久しぶりに、姪を連れて実家に戻ってきた。  姪は今四歳。たまにしか会えないのに、私のことを『お姉ちゃん』と呼んで慕ってくれる可愛い子だ。  その姪が、さっきから妙な動きを見せている。 「○ちゃん、それなぁに?」 「電車にいたおじちゃんの真似」  姪の返事に、姉がすかさず補足をつけた。  ここのところ、姪は人の動きを真似することにハマっているらしく、色んな場所で、ちょっとでも特徴的な動きをしている人を見かけると、すぐにそれを真似るらしい。 「変な動きをすることもあるから、公の場ではやめるように言うけれど、家や実家なら好きにさせておいてもいいと思ってる」  確かに、人前でこの奇妙な動きをされたら止めたくなるけれど、家で見ている分には問題はない。  そう思っていたら姪の動きが止まった。その状態でじっと私を見つめ、さっきとは違う動きを見せてくる。  いきなりどうしたんだろう。何か、別の動きの記憶でも脳裏をよぎったのかな? 「○ちゃん、それは何の真似?」 「お姉ちゃんの後ろにいる人の真似!」  姪の返答にその場の空気が凍りついた。  私の後ろにいる人?  どう見ても誰もいる筈がないのに、姪にはその『人』とやらが見えている? しかも、後ろに誰かいるというだけでも怖いのに、その『人』が、こんな奇妙な動きをしている?  一度に入ってきた知りたくなかった情報。それを聞いた今、私はどうしたらいいのかな? 真似…完  
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