第1章:科学部の二人

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第1章:科学部の二人

科学部室での出会い 秋の午後、東京郊外のある高校の科学部室。部屋には実験器具と古びたパソコンが並んでいる。窓からの柔らかな日差しが部屋を暖かく照らしていた。部屋の隅にある木製のテーブルには、大樹希志と神崎海斗が向かい合って座っていた。二人はまだ高校生で、青春の真っ只中にいる。大樹の前には、コンピュータープログラムのコードが表示されたパソコンの画面がある。一方、海斗の手元には、新しいプログラミング言語の本が開かれていた。 大樹は静かに画面を眺めながら、鍵盤を叩いていた。彼の指先は、まるでピアニストのように器用にキーボードを動かしている。その集中力は半端ではない。一方、海斗は本を熟読している。彼の眼差しは真剣で、新しい知識を吸収するために一心不乱だ。 突然、海斗が声を上げた。「ねえ希志、これ見て。このプログラミング言語、凄くない?」彼は興奮気味に本を大樹に差し出した。大樹は一瞥すると、軽く微笑んだ。「お前のセンスにはいつも驚かされるよ、海斗。だけど、それより今はこのコードのバグ取りに集中しているんだ。」 海斗は苦笑しながら本を閉じ、大樹の画面に目を向けた。「どうした?また難しいバグに遭遇したのか?」大樹は頷きながら説明を始めた。二人はその後、問題の解決に取り組み始める。このやりとりは、二人の間の強い絆と相互の信頼を物語っていた。 共通の興味と夢 二人は科学部で最も才能があり、好奇心旺盛な学生だった。彼らは、プログラミング、ロボティクス、そして最新のテクノロジートレンドに夢中になっていた。放課後はいつも科学部室にいて、新しいアイデアやプロジェクトについて熱く議論していた。 大樹は時々、将来起業家になるという夢について語ることがあった。彼は「自分の会社を持ち、革新的な製品を作って世界を変えるんだ」とよく言っていた。海斗もその夢を支持し、「その時は僕も一緒にやるよ」と答えることが多かった。二人の間には、ただの友情以上のものがあった。それは共通の夢を持ち、互いを尊敬し合う深い絆だった。 科学部の成果と展示会 学期末には科学展示会が開催されることになり、二人は共同でプロジェクトに取り組んだ。彼らは独自のロボットを製作し、そのプログラミングとデザインに多くの時間を費やした。二人は互いに意見を出し合い、時には激しく議論しながら、プロジェクトを前に進めていった。 展示会の日、彼らのロボットは大成功を収めた。多くの生徒や教師が彼らのブースに立ち寄り、彼らの技術力と創造性に感心していた。この日、二人は自分たちの夢が現実になる可能性を強く感じた。科学部室での日々と、展示会での成功は、彼らの起業家精神に火をつけた瞬間だった。
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