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自分は一体何者なのか。どんな生活を誰と送ってきたのか。何もわからない。思い出せない。何一つ確かなものも信じられるものもない。これから何を目標に、何をすればいいのかも。一生このままなのかもしれない。不安は焦燥に変わり、躓く度に苛立ちが募っていく。
ある晩夢を見た。爆音と悲鳴が轟き、目の前の子達がどんどん爆発しバラバラに吹き飛んでいく。瓦礫と肉片が散乱し、床が赤く染まる。自分もこうなると確信した。本能的な恐怖に支配されるように蒼志は逃げた。耳を劈くような悲鳴と絶叫が、まるで蒼志に助けを求めているかのようだ。でも蒼志はその叫びに応える余裕などなく、ただがむしゃらに逃げた。目が覚める。しかし蒼志は目が覚めた事に気づけない。悪夢と現実の区別がまるでつけられなかった。
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