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翌朝、そしてこれから①
そして翌日。私は改めて、我が家へと戻って来た。
玄関に入ると、さっそくあの顔半分幽霊がお出迎えしてくれた。
「まだ私、入っていいって言った覚えないですけど」
「……本気でそう思ってるなら、出ていくけど?」
幽霊が意地悪そうに笑う。
憎らしい笑顔である。よくもまぁ、半分しかない顔で、そんな表情豊かにできるものだ。
私は靴を脱いで、玄関に上がろうとする。
「あ、あのさ」
足を上げた状態の私に、幽霊が声をかけてくる。
さっきまでの笑顔から転じて、なぜだか急にしおらしい様子。今になって気付いたがこの幽霊、結構幼い顔をしている気がする。そう、多分……私より年下な気がしてならない。
そんな幽霊女、改め幽霊少女が続ける。
「あれ。また言ってくれない?」
「……どれ?」
「ほ、ほら。家に帰ってきたらさ、言うことがあるでしょ?」
「え? た、ただいま?」
ただいまなんて、昨日口にしただろうか。全然記憶にないのだけれど、これで合っているのだろうか。
そう聞こうとしたが、やめた。
「……おかえり」
少女の顔半分に浮かんだ満面の笑みは、とてもかわいらしいものだった。
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