隙間産業皇女

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 本庄児玉インターで降りて、リムジンは北上を続けていた。 「橋越えたとこにコンビニがあるから、そこ右で頼むぞ?」  滑らかに、リムジンは群馬県伊勢崎市八斗島(やったじま)の工業地帯に向かっていく。  目指しているのは、利根川の支流か何か?って感じかしら。  大体、今から行くから妖魅従えてこい?何言ってるのよこのおっさん。  馬鹿なの?死ぬの?  あ、いつもの霊感が囁いた。  オバハン下にノイジー通せば出る。  知るかああああああああああああああああああ!最近そんな情報しか囁かんなお前(私の霊感)! 「500ゼウスでいいよ。的な奴か?」  もういい!ゲジヒトは忘れろ! 「忘れていいのか?嫁さんが泣いてるのに。アトムと」 「もういいっちゅうんじゃあああああああああああああああああああ!ゲジヒトのことはさあああああああああああああ!」  お前等どんだけゲジヒト推しなんだよ。私の霊感もそうだが。 「で?!どこで何するんだ言ってみろ!」 「あーん?まああれだ、ただの利根川支流の三日月湖だ。山から降りてきた様なルアホ人間が、シルバニアファミリーみたいな大工とトップで遊んでたり、けったいな小僧が、赤い猫とバカデカいヒョウモントカゲモドキと一緒に釣りしてたところだ。何か、釣れてないみたいで、不機嫌そうにダイイングフラッター投げてたな。ああいうところだと、俺ならまあ、フロッグ投げるが」  釣り話もどうでもいいんだ。 「あの辺は、まあ川縁という霊的にトリートメントされた場所だと言っていい。水辺に怪異はつきものだ。だからかな、夜釣りに行ったルアホが、けったいな足音にかごめかごめされたりするようなことがよく起きる。一応群馬県だからな、流紫降もこの辺は足を踏み入れてはいない。おお着いたぞ。今回は授業なんで、こんなもんだろう」  よく解らないまま、私は水辺に降り立った。
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