268人が本棚に入れています
本棚に追加
「ご注文はお決まりですか?」
席までオーダーを取りに行くと、おっさんは鼻の下を伸ばしながら聖奈という女に媚びていた。
「何でも好きなの食べてね。ここちょっと高いけど、おじさん聖奈ちゃんにご馳走しちゃう」
「えぇ~どうしようかなぁ?どれも美味しそうで、聖奈迷っちゃう〜」
「………」
注文決めてから呼びやがれ。
「ねぇ、ショウはどれがオススメ〜?美味しいの食べた〜い」
「………お決まりの頃にまた伺います」
苛立ちを抑えて笑顔をキープするのは結構キツい。
立ちっぱなしの2時間を終えて、厨房で忙しなく調理しているかなでっちゃんに「帰るね〜」と声を掛けて裏口から出た。
そこで聖奈という女からの待ち伏せに遭う。
「待ってたよ〜ショウ」
仕事上がりの解放感がどんより気分に早変わり。
一気にテンションが下がった。
「ここで待ってたら会えるかと思って」
無視を決め込んで歩き始めると、女が行く手を阻むように立ち塞がる。
最初のコメントを投稿しよう!