春眠暁を覚えず

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〜一年後〜 ブップッブーッ ゆうじのおならで明美は目が覚めた。 今夜は桜が満開だからお花見の準備万端でゆうじが寝るのを待っていたらついうっかり寝てしまっていた。 あぶないあぶない。 明美はゆうじのおならに初めて感謝した。 そう、今夜は一年ぶりにサクラに会える日だ。 あの日の出来事を春の夢かと思った事もあった。 大家が桜を切って駐車場を広げるというのをなんとか阻止した事もあった。 リュックにはビールとつまみとサクラに見せたいと思って買った日本各地で撮られた綺麗な桜の写真集を入れた。 駐車場に向かうと今夜はいつも以上に月に照らされて怪しく輝く妖艶な桜の木が見えた。 そしてーー。 桜の木の上でふわふわ浮かぶ懐かしい友達の姿が明美の目に飛び込んできた。 「サクラー!」 明美は桜の木に向かって駆け出した。 完
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