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やわらかい風が頬をすべる。ほのかに太陽のにおいがした。ぼんやりと遠く、ベランダに干されたシーツを見つめていると、まるでついさっきまで彼女がそこに居たのではないかと錯覚する。白い歯を見せながら、すこし照れくさそうに微笑む君のまぼろし。君の好きだったこの季節がまたやってきた。 「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山(持統天皇)」
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