結局、お前は何処にいるんだ……?

17/38
783人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
   会計を済ませ、外に出ても、二人はまだ佑茉について語っていた。 「そもそも、強引に出ようにも。  あいつが家の何処に潜伏しているのかわからないんですが」 「どんな家ですか」  隣に住んでくれ、そう言ったのに、あの日なんだかドタバタしてそのままになってしまい、あいつがどこに住んでいるのか、未だにわからない。  というか、これ、ほんとうに両思いなのか?  まあ、自分と佑茉の関係を仕事の契約と仮定すると。  確かに相手方の動きから見るに、悪い感触ではない、 とそんな色気も素っ気もないことを考えながら、由人は、夜、家の長い廊下を歩いていた。  すると、裏の黒い家から、飲みかけのコンビニのアイスカフェラテとノートパソコンの入ったバッグを抱え、佑茉が戻ってくるところだった。 「あ、お疲れ様です~」  だから、ここ、職場か、と思いながら、足を止め、勇気を出して言ってみる。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!