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会計を済ませ、外に出ても、二人はまだ佑茉について語っていた。
「そもそも、強引に出ようにも。
あいつが家の何処に潜伏しているのかわからないんですが」
「どんな家ですか」
隣に住んでくれ、そう言ったのに、あの日なんだかドタバタしてそのままになってしまい、あいつがどこに住んでいるのか、未だにわからない。
というか、これ、ほんとうに両思いなのか?
まあ、自分と佑茉の関係を仕事の契約と仮定すると。
確かに相手方の動きから見るに、悪い感触ではない、
とそんな色気も素っ気もないことを考えながら、由人は、夜、家の長い廊下を歩いていた。
すると、裏の黒い家から、飲みかけのコンビニのアイスカフェラテとノートパソコンの入ったバッグを抱え、佑茉が戻ってくるところだった。
「あ、お疲れ様です~」
だから、ここ、職場か、と思いながら、足を止め、勇気を出して言ってみる。
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