第一章 リンドウのプレゼント

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川沿いの小道へ降りる階段の柵に見知った顔を見つけた。 叫び声を上げなかった自分を褒めたい‼ そこにいたのは、学院の鬼と噂される表は好青年、規則を破ったものには裏の顔、般若が現れると噂の生徒会長‼ そして私は一回だけ生徒会長のお世話になったことがあった。 ・・・お世話って言っても傘を持ってこなくてずぶ濡れで歩いてたところを会長が見かけて部屋に上げてタオルを貸してくれただけなんだけどね。 そんな優しくて、でもとっても怖い会長の様子がおかしかった。 何やら切なそうな顔をして空を見上げている。 その横顔は色白で、目は切れ長で、クールな優しい優等生‼と言った乙女ゲームに出てきそうな顔立ち。なのに・・・、その顔は苦しげに歪んでいた。 ・・・分かった! 会長は・・・、恋をしているのか‼ 明らかにそうだ。 苦しそうなのに、どこか懐かしむような雰囲気だし、たまに薄笑いを浮かべたりしている。 はは~ん。 東雲月乃は察しましたぞ‼ 「・・・稔麿・・・。」 ・・・は? と、稔麿? え、ちょっとまって待って‼ 稔麿って男の名前だよね・・・。 稔麿ちゃんなんて娘多分いないよね・・・。 いくら多様性の時代だからって…そんな事ある⁉ そこで私はあることに気がついたのだ。 会長は・・・、男が好きなのではなかろうか!! 我ながら上出来な思考、と自分の頭に感心しながら気分はなんか晴れたし家に帰ろっと回れ右をしたときだった。
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