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カイルが日本を訪れるのは14年ぶりだった。
向井カイル、51歳。
カイルは日本人の父親とアメリカ人の母親を持つハーフだ。
彼はアメリカの製薬会社に勤めていた。
しかし先月会社を早期退職した。
大学時代から続けていた投資が、アメリカ経済の上昇の波に上手く乗り
運良く一財を築く事が出来た。
製薬会社では、かなり上のポストについていたが、
高額な報酬と引き換えにプライベートを削るような日々だった。
カイルは今日までずっと独身で、特に守るべきものもない。
そこでカイルは早期退職を決意する。
このまま隠居するつもりはなかったが、
新しい事業を始める前にどうしても行っておきたい場所があった。
それは日本だった。
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