10.僕の終わらない夢

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「……相変わらず、無駄によく知ってるわね、あんた」 「あはは……。まぁ、昔話とか言い伝えとか、そういうの読むの好きだから自然と覚えてるだけだけど……。 でも、僕がこの話を思い返す時に感じるのはね。 例え現実で流れる時間が、どれだけ短かったとしても、その栄華を極めるっていう彼にとっての『一番の憧れ』を、夢のなかででも体験できたのならそれはそれで、幸せだったんじゃないのかってことなんだ。 ……目覚めた時に、どれほど(むな)しい感覚を味わったとしても、ね」 目を伏せて、僕はつぶやく。 「その『夢』を抱えていれば、きっと、生きて行けるから」 口にしたあと、自分でも感傷的すぎたことに気づいて、まいさんに悟られないよう身体を起こそうとした。 そんな僕の片腕を、まいさんがつかむ。 「……じゃあ、あんたの『良い夢』が、長く続くように、私も協力してあげる」 僕は驚いて、まいさんを見返した。 我ながら意味不明なつぶやきで、何を言っているんだろうと、思ったのに。 「きっと……ものすごく長い夢すぎて、途中であんたが、 「もう飽きたから目覚めたい」 って思っても、今度は私が『私の夢』から、あんたを出してやらないけどね」 ふふん、と、意地悪く鼻を鳴らして、まいさんが僕を押し倒した。 やわらかな肢体が絡みついて、僕のなかの情欲を(あお)る。
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