魔法の杖

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 掃除をしていたら、子供の頃に買ってもらったおもちゃが出てきた。  当時流行していた魔女っ子アニメ。それの主人公が持っていた魔法の杖だ。  ちょうど飼い猫が姿を見せたので、幼い頃を思い出し、ヒロインがやっていたように杖を振ってみた。 「○×△…天馬になぁれ」  作中でヒロインが口にしていた魔法の呪文を唱え、飼い猫に向かって、空駆ける天馬になれと魔法をかける。その直後、そんな機能はなかった筈なのに、杖が突然輝いた。  猫が急激に大きくなり、それと同時に姿が馬に変わっていく。しかもその背には二枚の翼。  飼い猫は、まさしく注文通りの天馬になった。でも、自分で口にした願いだけれど、こんなの全然望んでない。  慌ててもう一度呪文を唱えようとしたら、嫌な音を立てて杖が折れた。  壊れてしまった魔法の杖。これではもう呪文を唱えてもどうにもならない。  ニャ―ではなく、ヒヒーンといななく目の前の生き物。絶対に、世界に一頭しかいないだろう動物だけれど、私には飼い猫の方が大切だから、神様、今すぐ魔法の効果を無しにして、私にあの子を返してください。 魔法の杖…完
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