花埋め

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 ただ。  離婚はしたものの、俺は達郎に自分の思いを告げる気はなかった。  まあ、真っ当に生きている人間に、なかなか「異質」と言われている気持ちを告げるには勇気がやっぱり必要だったし、何よりも、俺は自分の気持ちを告げることで、今の達郎との関係を崩すのが怖かった。  そして、何よりも。  達郎達の「家庭」は幸せそうで、それはさけたかった。  けれど、達郎の方が俺の離婚を聞いて、「思い」が抑えられなくなった、と言って来た。  だから。  俺は、自分の心に正直に生きることにした。  たとえ次男から軽蔑されても、達郎への思いを優先することにしたのだ。  達郎のほうの離婚には、結局三年の月日がかかった。  当たり前だ。  達郎の妻にとっては、あまりにも辛いことだっただろう。  一人娘が結婚して旅立った後に、夫とまで別居となるのだから。  しかも相手は、男である。  あげくの果てに、娘の結婚相手の父親だ。
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