無限色カレッジ

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 そう言って笑う、太陽のような笑顔にまた芽衣が戻ってくれたから。もう、体の痛みなんて、本当のところ。どうでもよくて。 「……期待してる」  チュ。とリップ音を鳴らして、先ほどデコピンをした部位にキスをすると、満面の笑みで「まっかせなさい!」と、独りじゃないことを再確認した芽衣は。宗矢に、めいっぱいのハグをした。 * 「あんた、またここに居たの?」  いつかの台詞とどこか同じ。芽衣は、卒業式を終えて花飾りを左胸に、凛として、きらめいた女子になって、グラウンドで後輩の練習を眺めていた、同じく花飾りを左胸にした宗矢に話しかける。彼もまた、1年生の頃とは違い随分背も伸び、立派な美丈夫となっていた。 「ウルセエな。最後くらい、いいだろ」 「はいはい」  宗矢の父は、彼を叱るどころか、褒めるどころか、今は厳しい闘病生活をしている。海外の医療施設でないと治せないが、行けばほぼ必ず治るというわけで、アメリカに高校は留学ということになる。部活を眺めていたら、駆けつけた後輩に、いつ行かれるんですか、と問われ、来週かなと宗矢は後輩に答えた。
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