最後の一人

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最後の一人

ヨドは王族に恨みを持っていた。 その昔、未来が見える目を持つヨドの一族が、まだ神官として予言をしていたころ。ある不吉な予言を、確定された未来として父に伝えたのだ。 「3人の王子が成長し、王位を継ぐ頃合いに、国は大きく3つに別たれ、国家を揺るがすほどの大きな内乱へと発展するだろう」 当時、私の父は冷戦状態だったエリーゼと休戦条約を結び、エリーゼの姫を娶った直後で、とても過敏になっていた。 不吉な予言をする一族として、ヨドの一族が父の命令で根絶やしにされ、ヨドはその一族の最後の生き残りとなった。ヨドは確定された未来が見える一族のなかで、ほんの少し先の未来を見ることしかできない、落ちこぼれだった。故に、危害は加えないだろうということで、青の宮殿の客人として、もてなされていた。
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