もう一度、キミの元へ~虹の橋を越えて~

9/10
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「まずは自己紹介だよね! 今の僕の名前は大樹(だいき)って言うんだ。高校一年生だよ。学校は」 「ちょ、ちょちょ、ちょっと待って!」  勢いよく話しはじめた僕に一旦ストップをかける。 「だってイチコちゃん、今の僕の事、知らないでしょう?」 「そうだけど……」 「せっかく会えたんだもん。その為に生まれ変わってきたんだしね! これからもよろしくね」 「え⁉︎ これから?」  『これから』というワードにイチコちゃんが驚いている。  やっぱり。イチコちゃんはこの出会いでもうそれっきりだと思っていたんだ。そんなの嫌に決まっている。やっと会えたんだから。 「イチコちゃん言ったじゃない。『また会おうね』って。それでこうして会えたんだから、また一緒にいたいじゃない?」 「一緒にいたいって言ったって……」 「え? イチコちゃん、彼がいたりするの?」 「それは、いないけど」  よし! 彼がいないなら遠慮することないよね。 「じゃあ、僕! 僕、だってイチコちゃんと結婚するつもりだったんだから」  なんて、最初から考えていたわけじゃないけど。  でもよく考えたらずっと一緒にいるってそういう事だよね? 「イチコちゃん、大学生だよね? どこの大学? 今日終わり何時? っていうか、今から一緒に行く。送っていく!」  思わず鼻息が荒くなるくらい前のめりになっていく僕を、イチコちゃんが両腕を伸ばして引き離そうとする。 「ちょっっと待ってよ! 君こそ高校生でしょ? 学校遅刻しちゃうじゃない」 「いいよ。イチコちゃんと一緒にいられるほうが大事だもん」 「そんなのダメに決まってるでしょ! ちゃんと出来ない人とは付き合ったりしないから!」 「えぇー……」  付き合ったりしないってハッキリ言われて、胸がつぶれそうになる。  ずっと一緒にいたいけど、それで嫌われるのは困る。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!