前編(攻め視点)

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 遥君のキーマカレーとスプーンをテーブルに置いた。 「いただきます」  元気に手を合わせると、一口食べて顔を綻ばせる。 「すっごく美味しいです」 「そう、良かった」  可愛い子が美味しいと食べてくる事に心が満たされる。いや、本当に可愛い。 「遥君は何学部なの?」 「僕は外国語学部英語学科です」 「俺、学生の時英語苦手だったな」 「僕も得意って訳ではないです。誠さんはどんな仕事されてるんですか?」  名前にさん付けされて心臓を鷲掴まれた。コテンと首を傾けるのも100点満点中5億点はあげたい。 「俺はおもちゃ作る会社で働いてるよ」 「子供に喜ばれる仕事なんて素敵ですね」 「大人が悦ぶおもちゃだから子供には見せられないかな」  目をパチクリさせて、ボンっと音がしそうな程顔を真っ赤にさせる。反応がいちいち初心で可愛すぎる。 「えっ、あ、あの、……誰かが喜ぶ仕事って素敵ですよね!」  慌てて早口でしゃべり、恥ずかしさを誤魔化すようにキーマカレーを頬張る。こうも純粋だと意地悪したくなるな。 「興味あるなら飯食った後にサンプルあげるよ」  ゲホゴホとむせる遥君の背をさすってやり、水を渡した。それを一気に飲み干す。  可哀想なくらい真っ赤になって潤む瞳は、少しの期待を孕んでいるように見えた。興味はあるんだろうな、とこちらも嬉しくなる。  まずは食べきろう。
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