拗れた秘密

刑事×彩花×美帆

「…何で私だけを愛さないのよっ！だからこんなことになったのよっ！」

知らせを受けて駆けつけると、血だらけの男に馬乗りになった綺麗な顔をした女が、狂ったようにその頬を叩いている姿が目に入った。

抵抗する気配のない男は、ただされるがままに顔面を左右に振って、目元はすでに殴られて腫れている。

男はパッと見で仏さんだと、長くこんな仕事をしてりゃわかる。

おびただしいほどの血の海の中、半狂乱の女を立ち上がらせると…死んだ男の局部が丸出しになっていて…そこがヌラヌラと光っていることに気づく。

女性警官に耳打ちして、短いスカートの姿の女に丈の長い上っ張りを着せた上で言った。

「お姉さん、ちょっと一緒に来てもらうね…あぁ、大丈夫。あんたの愛しい人も一緒に行くから…な？」

痴情のもつれ…ってやつか。
まだ若いのに、人生詰んだな。

調べによると、男を刺して殺害した女は、佐伯彩花27歳。殺された男は都筑洋平29歳とわかった。

よくある男女関係のもつれだと思われた事件だったが、現場から不可解なものが見つかった。

…ダイヤの指輪だ。

その後の調べで、有名宝石店で被害者の男が現金で買ったものらしい。
プロポーズをするほど愛していた女に刺されるとは…ちょっと気になるな。

そこで調べを進めると、1人の女が捜査線上に浮かび上がった。

「2人はとても愛し合っていました。
でもちょっとした気持ちのすれ違いがあって…」

事情を聞きたいと申し出ると、まるで待ってましたと言わんばかりに警察にやってきた女は…

山根美帆29歳。

白いワンピースに白い靴。
ピンク色の口紅をさして、髪もきれいにセットしているのも妙だったが、一番おかしいと思ったのは…。