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……大丈夫。
私は総士さんの
言葉を信じるって決めたから……
だから
彼の言葉を聞く前に
ひとりでごちゃごちゃと考えるのはやめよう。
今、頭を悩ませて考えても
良い答えが出てこないのは経験上、知っているから……
*
「遅いな……」
時刻は9時前。
仕事が終わり新幹線で本社へと
行っている彼の帰りを駅のホームで待っていた。
さっきは
内藤の前で
見栄を張ってみたものの
正直、生きた心地がしない1日だった。
ただ不思議と
前回はまったく
仕事が手につかなかったのに
今回は自分でも驚くくらいに
仕事に集中していて時間よりも早く仕事が終わるほどだった。
「待った?」
「遅いよー、待ちくたびれた!」
周りの
待ち人たちは
新幹線が到着するたびに
ひとり、またひとりと笑顔で消えていく中で
私が待っている愛おしい人の姿は一向に現れない。
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