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雨を急ぐ嘘
今日も雨が降る
老人は私に聞いた、愛する人はいるのかと。
私は「いる。」と言った
明日も雨が止む事が無い。
老人は愛する人が居なくなった寂しさを語った。
私は笑顔を作った。作る事しか出来なかった。
天気予報を観ていた。
老人は残された者は思い出ばっかり残って、後始末に困るから家は建てない方がいいと言った。
私は何も言えなかった。
もうすぐ彼の名前が無くなる。
私は言えなかった。
急いで家を建てていると、もうすぐ死ぬ子供がいると。
急いで子供部屋を作っていると。
老人は立ち去りながら、「愛する人がいなくなるとね。」と呟いた
私は泣き続けた。
私は泣き続けて、泣き続けた。
「早く雨を止めてくれ。」
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