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Ⅴ
俺はフィリアを
抱き抱えたまま
空洞の中に入った
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「目を開けても大丈夫だ」
俺の声掛けに
強く目を瞑っていたフィリアは
ゆっくりと目を開いた
「…綺麗…」
目の前に映る光景を見て
フィリアは声を漏らした
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満開に咲き誇る色鮮やかな花畑
湖に囲まれた小さな教会
小さな木造の家
美味しい作物が育つ畑
夜空を見上げれば
満点の星々
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俺は仕事に疲れると
いつもここに来て
息抜きをしていた
いつかの事
【秘密の俺の場所がある】
とフィリアに打ち明けた事がある
来たいと言っていたが
いつも流していた
しかし
あの日【約束】をした
今日はその約束を
果たしに来たのだ
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「フィリア、教会に行かないか?」
俺の言葉に
フィリアは目を輝けせて頷く
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湖付近まで俺達は来た
「教会までどうやって行くの?」
教会まで行きたいが
湖が広がっていて行けない
教会は湖を越えた先にある
フィリアは首を傾げて考えている
「それなら大丈夫だよ」
俺は指を差した
指を差した場所には
木造のボートがある
「沈まない?」
「沈みません」
そんな冗談を言い合い
俺はフィリアの手を引いて
ボートに乗り込む
ボートを漕いで
湖に囲まれた教会に向かった
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