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それは、鳥や蛇の場合ではないのだろうか。
有島は俺を肩に乗せて歩いていたが、自身の見た目の良さもあってか、振り返る人が多かった。それも、老若男女が同比率で振り返っていて、通り過ぎてからヒソヒソと呟き合っていた。
「あのマフラー、生きているみたい」
「マフラーと目が合った!」
マフラーとは目が合わないだろう。でも、俺とばっちり目が合った。
「生き物なのかな???可愛い!!毛玉みたい」
「あ、笑った!!!目もオレンジで、パッチリしていて大きい!それに笑うと、天使!何の種類なのだろう……」
「可愛い!!!!!大きな目をパチパチとさせて、不思議そうにこっちを見ている!!」
不思議そうに見ているのではない。見るなと威嚇していたのだ。
「可愛い!!!!オレンジが太陽みたい!サルなのかな……不安そうに震えていて……抱きしめたい!!!!!」
「どれ?あ!本当だ!!!小さい!!可愛い!!」
小さくない。それに震えているのではなく、バランスを取っているだけだ。
「……………………目立っていませんか?」
目立っているのは、有島のせいだろう。俺は何もしていない。
「まあ、いいですが……」
「いいのか?!!」
このサルは、新種ではなく珍種だ。図鑑でも、ネットでも出ていない。だから、そっとしておいて欲しい。
そして駅前まで歩くと、有島が荷物を持っていた事に気が付いた。
「有島さん、そのキャリーバックはどうしました???」
「道原君から借りました」
キャリーバックは必要無いと言いたいが、今も通りすがりの女性から、俺に首輪が無いので、逃げないのかと質問されていた。
「首輪を買いますか?」
「絶対に嫌だ!」
そして誤魔化すように、有島が俺の首にバンダナを巻いていた。
「サルは首輪が必要なのか?」
「分かりません」
そして電車に乗ろうとしたのだが、駅員に止められてしまった。
「キャリーバックに入れています。切符も買いました」
「サルは不可です」
俺は犬だと主張してみたが、すると重さでNGになったので納得した。
「重さならいいのですか?」
「仕方ない」
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